| (24)針山・ 草山・大帽山 〜真夏の山歩きは痴線〜 |
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〜 真夏の山歩きは痴線〜
馬鹿と煙は上へあがりたくなる。ましてやくそ暑いこの時期に香港の山を歩いているのは、まったくのチーシン(痴線)だ。しかし人間とは面白いもので、普通の人といわれる誰しもにも、正常心の中に気違い地味たことに対する好奇心が潜んでいるものだ。。
前置が長くなったが、炎天下の中、MacLehose Trailの中でも中核をなす、ステージ6、7及び大帽山途中から大埔へ抜けるルートを歩いてきたので紹介したい。
昨年のTrail Walkerが終わって、しばらくもうMacLehose Traiは歩きたくないというのが我々山の仲間の不文律となっていたが(これまではMacLehose Trai以外の山々を楽しんできた)。今年のTrail Walkerの申込が初日で申込を締め切るという事態に触発されたのかまたぞろ、こわいもの見たさの異常な精神が頭をもたげ、クーラーのがんがんに効いた部屋でジャパニーズ・アワーでも見ていればいいものを、まったくのチーシンな真夏の山行を計画した有様だ。
このレポートは香港生活の参考となる情報提供を目的としたもので、登山勧誘を目的に作成したものではありません。登山に関する最終決定は皆様御自身の判断でなされますようお願いします。などと証券アナリストのレポートの如き注意書きを付けたくなる・・・。〜香港の名水?〜
今回のチーシン山行のスタート地点はMTRの太子。ここからタクシー(約30香港ドル)で金山郊野公園(Kam Shan Country Park)。野性の猿で有名な場所だ。ちなみに香港政庁から出版されている「Hong Kong Animals」によれば、ここの猿たちは尾長猿(Long-tailed Macaque)で、お尻はニホンザルに比べればやや薄いピンクのお尻が特徴。
この大埔道から城門までがMacLehose Traiのステージ6となる(距離4.6km、標準歩行時間1時間半)。
最初は九龍水塘(Kowloon Reservoir)と九龍副水塘(KowloonByewash Reservoir)の間の車道を進むが、この車道が登りから下りにさしかかりいよいよ城門までの山道に入る辺りにはいくつかの水場がある。崖から流れ出る自然水だが、香港の山では数少ない水場で、Trail Walkerでも水の補給場所として重宝した所だ。ちょっとやわらかめの水で、香港百名水などというものを選出すればその一つにも当然加えられるべき水場だ。早朝にはお年寄りたちがお喋りを楽しみながらここの水を汲みにやってくる。
山道もそうたいした登りはなく、やがて葵涌(Kwai Chung)からツェンワン。そして大帽山から目指す針山まで一望できる箇所にさしかかる。ここを下ったところが城門水塘(Shing Mun Reservoir)。タクシーを降りた スタート地点から1時間程だった。このMacLehose Trailステージ6は早朝がおすすめ。〜3段腹の美人山〜
城門水塘から鉛鑛凹(Lead MinePass)までがMacLehose Traiのステージ7。距離は6.2kmで、標準歩行時間は2時間半とある。しかし単調な登り下りが連続し、太陽を遮る木々が少ないこともあり「トレイル・ウォーカー」でも後半戦最大の難関となっている。
まずは水塘のダムサイドを歩く。大方の水塘は釣禁止であるが食パンを餌に釣糸を垂れているシンサンたちがたくさんいる。香港では釣竿を使った釣りはあまりお目にかかれない。ダムサイドを歩き終えればいよいよ針山(Needle Hill、532m)への登りだ。陽が昇り、暑さが一段と増した中ではこの登りはかなりしんどい。我々が3段腹と呼んでいる急登を3つ登りきれば頂上(城門水塘から約50分)。
しかしこの針山の頂上というのが、何ともまたいやな所で、あまり風も吹かなければ、日差しを遮るものが何一つない頂上。針山は奇麗な三角の山(名前の通り鋭角的)で、見かけは申し分無いのだが、この頂上がいけない。 美人にかならずしもイイオンナがいない?のと同じなのか、早々にこの愛想のない頂上を切り上げる。またこの下りも膝にこたえる嫌な下りで、まるでオサラバするのに手を焼くオンナといったところ。下り切れば、今度はコンクリートの車道が草山まで延々続く。この車道もクセ者で太陽の照り返しをジリジリと浴びせ長く続く登り坂がボディーブローの様に追い討ちをかけてくる所だ。
ここまでの針山、草山はまるで、苦労して美人とデキたものの、つきあって見れば愛想の無いオンナということが判明。別れる時は付き合うまでとは逆にオンナから足元にしがみつかれ、何とか縁を切って次のイイオンナを目指すものの、そこに辿りつくまでがまた真綿で首を絞められるが如き苦難の道とでも表現しておきましょう。
しかし草山までは真綿で首を絞められるといっても2ヵ所程、木陰の気持ちイイ場所もあり、やはりアノ・オンナと別れとホッとするという感。苦労して辿り着いた草山(Grassy Hill、647m)は、これはもう見晴らしも良く、心地よい風も吹き、ようやく落ち着く港を見つけた漂流船の様でした。ここから20分程下れば鉛鑛凹。オレの人生もかくあればとの思いがひとしおの山ちゃんでした。〜大帽山の水〜
鉛鑛凹(Lead MinePass)は登山道の交差点である。イイオンナに辿り着いた後に交差点があったという様な人生めいた生臭い話は今度は見送ろう。この峠は南に下れば城門水塘、北に下れば大埔の街。西を目指せば大帽山で、東を目指せば草山となっている。MacLehose Traiの中では有数のトレイル交差点で森の中の静かな休憩所ではたくさんのハイカーたちが憩の一時を楽しんでいる。
我々は大帽山を目指した。しかし目的は大帽山ではない。今回は途中から大埔を目指す新ルートを選択。大帽山への登りは森の中からやがて岩の間を縫うように登る。やがて大帽山本峰を見渡せる稜線に出、しばらくは標高差の無い歩きとなる。MacLehose Traiを離れ大埔へ下るルートはいくつかあるが一旦沢を横切り大埔への尾根から新屋家(San Uk Ka)へ出るのが今回選んだ道。
ここで最初に横切った沢がすばらしい(この道は滑りやすいので注意)。真夏のこの時期でも水が冷たいのだ。さっそく裸足になり小川に足を浸せば、多少痛い位の冷たさが、猛暑の山歩きを続けてきた中では極楽となる。さすがに香港最高峰の大帽山だけにいくつもの川の源流部分の沢筋には、香港トップクラスの水場が点在するのだ。
しかし夏のこのルートは薮こぎが覚悟。半袖、短パンでは傷だらけとなること必死だ。特に標高588m の無名峰までの薮こぎがたいへん。午後2時頃、気温が最も上がる頃の薮こぎは地獄と化す。ひたすら下山してからのビールを希望にがまんの下りで、ようやく新屋家。ここから大埔までは歩いても30 分程だが、ミニバスも運行されており、KCR大埔駅までは3.3香港ドル。大埔は今でこそは工業団地のイメージが強いが、かつてはマーケットで栄えた街と聞く。当然、下山後の食事はどこでと、レストランの物色も楽しみとなる。やっぱり嘉士伯は最高!の山ちゃんでした。 [96/07/15]